令和4年度に実施した主な業務及び令和5年度に実施または予定している主な業務
1. 磯焼け・藻場回復対策等の事業への取り組み
漁場造成上重要かつ漁業者から要望が強い「磯焼け対策・藻場回復」に関して、これまで以上に、一般社団法人長崎県漁場整備開発協会(以下「漁場整備開発協会」)をはじめ関係機関・団体、関係者と連携を強化していくとともに、県等の磯焼け・藻場回復対策について、関係する市町・漁協・漁業者等と協力した取り組みを行います。
本年度の取組(実績と予定)は、下記の項目に記載のとおりです。
県の公募事業(藻場回復新技術導入実践事業)関係
2m角型魚礁ユニットによる核藻場漁場(平成27~28年度設置)について、検証及び改善対策など必要な対応(検証は毎年実施)を行っており、本年は7月19日(昨年は7月27日)に現地調査(潜水など)を実施予定です。
藻場にかかる関係者間での情報交換会について
一昨年まで、関係機関・団体で構成する藻場回復WG会議において、藻場回復のための課題や対策(事業・取組等)について、意見交換をし、必要な対策等を関係機関等に提言いたしました。
(構成:県水産部・水試、西海区水研、水産土木センター長崎支所、当法人・当協会)
昨年からは、フリーに情報や意見交換ができる場として、「藻場及び藻場回復にかかる情報交換会」(構成はWG会議と基本的に同じ)を開催しています。
昨年は、昨年の県内の春季と秋季の藻場の状況や今後の取組等について、情報・意見交換を行いました。
本年も、昨年と同様に、情報・意見交換を行う予定です。
藻場回復のための県内の藻場の現地確認調査
藻場の回復のための様々な取組に寄与することを目的に、昨年(令和4年)から、県内のうち本土地区を主体に、潮間帯を主に、春季と秋季に藻場の現地確認調査(干潮の時間帯での目視と標本採集)を実施しています。なお、種の同定(令和4年秋季から行い本格的には令和5年から)は県総合水産試験場のご厚意により行っていただいています。
これらのデータは、県総合水産試験場、県水産部、水産土木建設技術センター長崎支所及び関係の専門家などに提供するとともに、上記の情報・意見交換会での参考データとしても提供しています。
【令和4年の現地調査概要】
《春季》まずは概況を知るため、特に県南地区はかなり多くの地点を観察しました
○県南全域 4月~5月中旬、確認箇所数90(内 長崎半島・西彼半島28、橘湾・有明海23、大村湾29)
○県北一部 5月末、6月下旬、確認箇所数22(内 平戸・生月18、鷹島4)
《秋季》春季に繁茂している地点を対象に、四季藻場の形成種の確認などを目的に観察しました
○県南ほぼ全域 9月上旬~10月初、箇所数50(内 長崎半島・西彼半島12、橘湾・有明海19、大村湾19)
○県北ごく一部 10月上旬、箇所数7(内 平戸・生月7)
【令和5年の現地調査概要】
《春季》昨年の観察結果を踏まえ、さらに地点を絞り月変化も含め観察し、標本採集も実施しました
○県南全域 4月箇所数 38(内 長崎半島・西彼半島10、橘湾9、有明海5、大村湾12)
〈計56箇所〉 6月箇所数 12(内 長崎半島・西彼半島3、橘湾5、有明海3、大村湾1) ★補足5月6箇所確認
○県北一部 5月箇所数 18(内 平戸・生月6、田平~松浦7、鷹島5) ※県北のほぼ半分程度を網羅
〈計32箇所〉 6月箇所数 14(内 平戸・生月4、田平~松浦5、鷹島5)
《秋季》昨年及び春季の観察結果を踏まえ、さらに地点を絞り観察し標本採集も実施しました
(春季のような月変化は観察していません)
○県南全域 9月~11月 箇所数 21(内 長崎半島・西彼半島4、橘湾8、有明海2、大村湾7)
※本年は大村湾等一部を未実施
○県北一部 10月 箇所数 14(内 平戸・生月4、田平~松浦5、鷹島5)
※本年は終了
藻場の保全・再生活動関係のイベント開催
その他関係
- 磯焼けの状況・藻場回復対策にかかわる漁協や活動団体への聞き取り・意見交換
・主要漁協(34漁協)については、5~7月にかけて聞取り済み
・活動団体については今後聞取りなど行う予定 - 磯焼け対策全国協議会など各種会議への参加など
・来年1月などに予定されており、それぞれ参加予定
2. 関係機関への要望活動
漁場整備事業(藻場回復含む)の円滑な推進と今後の事業予算確保等のため、当法人と漁場整備開発協会連名で、水産庁や長崎県等に要望、意見交換を毎年実施しています。
本年の実施は下記のとおりで、その概要は、トップ画面の「お知らせ」及び「活動実績」に記載しています。
・水産庁:7月26日実施済み
・長崎県:11月13日実施済み
・自民党長崎県連:12月15日実施予定
3. 藻場回復対策等に関する技術の研究や技術研修会の開催
毎年実施しています会員や漁協、県、市町、関係団体等を対象にした「技術研修会」の開催などを実施いたします。
・昨年は8/31に開催いたしました。
(実施内容・参加人数などは、別ページの「活動内容」の「行事予定・活動実績」にご紹介しています。)
・本年は、8/30に開催いたします。
4. SDGsの取り組み
令和4年3月31日に長崎県SDGs制度で登録を受け 昨年度(令和4年度)からSDGsの各種取組を行っています。
主な取組は、「藻場の回復」や「海洋ごみ(特に海洋プラスチックごみ)問題」などです。
「藻場の回復」に関しては、令和4年 春季の4~6月にかけて、県南地区と県北地区の一部(計112箇所)地先(潮間帯)の現場を見て廻りました。また、秋季の9~10月に、県南と平戸地区で春季に海藻が群生していた所(計50箇所)の現地確認を行ってきました。
本年も、春季(4~6月)の県南地区と県北地区の現地確認調査を行ったところであり、秋季には春季の確認結果を踏まえた上で調査を実施中です。※昨年と今年の春季の調査地点等の詳細は、上記の現地確認結果概要に記載しています。
「海洋ごみ問題」に関しては、令和4年 1~3月にかけて、県南地区(計63箇所)の海岸を、9月には台風後の対馬と橘湾の一部海岸を見て廻りました。その結果概要は別のページの「活動内容」の「SDGsの取組」にご紹介していますので、ご覧になっていただければ幸いです。
また、昨年から漁連や漁協が実施している「浜そうじ」に参加しています。この取組概要は、「トップページのお知らせ」や「SDGsの取組」に記載しています。
これらの他、海の環境問題に関して、一般の方や他のNPOなどとの交流にも取り組んでいます。
昨年10月16日には、トヨタ・ソーシャル・フェス2022!!「藻場保全・再生プロジェクト」in伊王島で、一般の方(親子の方など)を対象に藻場回復の話をさせていただくとともに、海水浴場でゴミ拾いを一緒に行いました。
また、令和5年2月23日に、長崎県庁で開催された大学生とNPOとの交流を深めるためのイベント「であたび交流会」に参加し、「環境」部門で大学生及び他のNPOの方々と意見交換や交流を行いました。
この二つのイベントの詳細については、「トップページのお知らせ」や「活動内容のSDGsの取組」でご紹介しています。
今後も、現場確認や関係者との情報・意見交換、一般の方や他のNPO法人との交流などを通じて、海の環境改善に取り組んでいきます。