漁場整備とは
魚食文化が浸透している日本では、日々さまざまな魚が食べられており、水産物の安定的な供給は欠かせません。
魚は、浅い所から深い所まで、様々な海域にいますが、岩礁など海底地形の変化がある所を好む魚は多いです。
それは地形の変化により海底の栄養が巻き上がって魚の餌のプランクトンが多かったり、魚の隠れ場になったりするからです。さらに浅い海域では、海藻が付着し生えやすい環境であるため、産卵場所や子供である稚仔魚の隠れ場になったりするなど、魚にとって住みやすく集まりやすい環境を提供しています。云わば岩礁は海の中のオアシスのような場所です。
ただし、それらの岩礁(天然礁とも言います)は、広い海域にまんべんにある訳でなく、規模がある程度以上あるものは、そんなに多くありません。
そこで、魚にとってオアシスのような環境を人工的に作るために行われているのが漁場整備です。
漁場整備には、大きく分けて二つがあります。
一つは、魚を集め漁獲しやすくするための魚礁設置です。もう一つは、稚魚や若魚を保護育成したり、海藻を育成繁茂させるための増殖場造成です。
そして、最近は、両方の機能があり規模が大きいマウンド漁場(人口海底山脈)といわれる漁場整備も行われるようになりましたが、広い海域を持つ長崎県では、沖合海域で整備されています。(国の事業名はフロンティア漁場整備事業です)
人工魚礁とは
人工魚礁とは、魚類を集めたり増やしたりするために海中や水中に設置するもので、次のような機能があります。
- 物陰に隠れる性質をもつ魚類の隠れ場
- 小型の魚類が大型の捕食魚から逃げるための逃避場
- 繁殖に欠かせない親魚の産卵場
- 魚礁により周辺の潮の流れを弱めることで、泳ぐ力の弱い動物プランクトンが集積する場
- プランクトンを食べる小型魚類が繁殖する場
フロンティア漁場整備事業とは
従来の漁場整備は、その多くを沿岸に近いところで行っていましたが、国が行う「フロンティア漁場整備事業」では、沿岸から離れた排他的経済水域で、産卵場や保育場などが整備されました。
日本の海域での水産資源の回復と生産力の向上を目的に、2007年から実施されています。
国土面積の約12倍、世界第6位の広さがある日本の排他的経済水域及び領海は、水産資源を日本のためだけに利用することができる貴重な場です。この海域における水産資源の保存や適切な利用は重要な課題です。
全国の人工魚礁(フロンティア漁場整備事業分)
「フロンティア漁場整備事業」を行うためには、地域の漁業者が資源管理の取り組みを行っていることなど、いくつかの条件があります。
これまでに整備されている区域は、日本海西部地区、隠岐海峡地区、対馬海峡地区、大隅海峡地区、五島西方沖地区の計5ヶ所です。
これまでに整備されている区域は、日本海西部地区、隠岐海峡地区、対馬海峡地区、大隅海峡地区、五島西方沖地区の計5ヶ所です。
2015年に第1号として五島西方沖地区が完成しました。
人工魚礁で保護・育成している魚(フロンティア漁場整備事業分)
フロンティア整備事業は、大きく2種類あります。
1つは、魚たちが生息する海域にコンクリートブロックなどを設置することで、産卵や育成を助ける「保護育成礁」。
もう1つは、海底にコンクリートブロックなどを山脈のように積むことで、海底から海の上層へ上昇する水の流れをつくり、海底にある栄養分を広く行き渡らせ、魚たちを増やしていく「マウンド礁」です。
「保護育成礁」では、ズワイガニやアカガレイ、「マウンド礁」では、マアジ、マサバ、マイワシなどを保護、育成しています。
当協会が取り扱っている人工魚礁の種類
2m角型魚礁
4m角型魚礁
2m角型乱積み魚礁
2m角型魚礁 (2.0m×2.0m×2.0m) | 4m角型魚礁 (4.0m×4.0m×4.0m) | ||
コンクリート(21N/mm2) | 1.728m3 | 8.452m3 | |
型枠面積 | 20.280m2 | 84.270m2 | |
空中重量 | 4.230t | 20.700t | |
鉄筋(SD345) | D10mm | 18.720kg | 92.000kg |
D13mm | 99.440kg | 559.000kg | |
脱枠強度 | 梁・柱部材 | 5.0N/mm2以上 | 5.0N/mm2以上 |
底枠脱型 | 8.0N/mm2以上 | 8.0N/mm2以上 | |
横持ち | 8.0N/mm2以上 | 8.0N/mm2以上 |
※脱枠強度を役所に提出される方は、このページを印刷してご使用ください。
※詳しい計算書が必要な方は、お手数ですが、協会事務局までお問い合わせをお願いいたします。
※詳しい計算書が必要な方は、お手数ですが、協会事務局までお問い合わせをお願いいたします。
2m角型魚礁の鉄筋配筋図(平成24年1月15日・平成25年3月14日変更)
鉄筋組み立て作業の効率化を図るため、配筋の一部を変更いたしました。
従来の鉄筋重量より、6.56kg少なくなっています。
従来の鉄筋重量より、6.56kg少なくなっています。
魚類の蝟集状況
(平成6年7月製作→10月潜水調査)
イラ(25cm) | 15尾 |
ヨコスジフエダイ(25cm) | 100尾 |
クロホシフエダイ(20cm) | 10尾 |
コロダイ(40cm) | 10尾 |
カワハギ(15cm) | 20尾 |
マハタ(30cm) | 8尾 |
ハコフグ(10cm) | 1尾 |
キュウセン(10cm) | 10尾 |
キンチャクダイ(15cm) | 3尾 |
ウツポ(100cm) | 1尾 |
スズメダイ(5cm) | 650尾 |
テンジクダイ科(2~5cm) | 65,000尾 |